となり町戦争

小説を読んでストレス解消したい気分だったので,急に買って読んでみました.

戦争を地方自治体の公共事業として描いた作品.主人公が戦争をリアルに感じることができないまま戦争事業が始まり終わっていく情景を描いている.主人公とヒロインの女性のロマンスぽい部分が書かれるのですが,大変イマイチ.また,表現も妙に技巧的であざとい部分もあったりします.でもリアリティを感じない戦争というテーマ自体は考えさせるし,お役所仕事のステレオタイプを描いた部分もなかなか面白いです.

また内容とは直接関係ないけれど,戦争というのは国と国の国交手段や事業として行われ,国家予算で軍備を整え,一般市民を兵力として使用することである,という当たり前なんだけど平和な日本では忘れがちなことを気づかされた.市役所から税金を納めなさいという書類が送られてくるのと,戦争に行きなさいという召集令状が送られてくるのは大違い.でも,今はないけど,僕に召集令状が送られてくることもあり得る話なのです.戦争というのはどうも他の事業とくらべて,アンナチュラルなものだと思ってしまうけれど,戦争をしている国からすれば大事な国家事業,なのでしょうか..
そういう気づきを与えてくれたと言う意味ではだいぶん価値があった作品だと思います.


表紙のフォントがなかなか味があって良いです.本屋で見かけたら,フォントに注目してみて下さい.ちなみに作者は公務員らしいです.
★★☆☆☆

となり町戦争

となり町戦争