フリークアウトの佐藤さんのインタビュー記事を読んだら、 とても印象的な文章がいくつかあったので引用しておきます。
──ヘッジファンドでやっていたようなことが、広告の世界に入ってきたということなんですね。なるほど。RTBによって、広告やマーケティングの世界はどう変わったとお考えですか?
インタラクティヴ広告とかオンラインマーケティングの業界に入ってくる人って、リッチで面白いクリエイティヴや、面白いスキームのキャンペーンをやりたくてきている人が多いと思います。でも、そういった志をもっていたとしても、実際の仕事の大部分ってExcelでメディアの管理をすることだったりするんです。正直、「現時点で最も成功しているアドテクノロジーはExcelだ」って言われたりしてますから。ヤフー、ミクシィ、MSN、Twitter……と並べて、それぞれに予測される広告表示回数やクリック率、クリック数、クリック単価などをシミュレーションして、合計いくらクリックされて、ROIはこれくらいです……、ということをひたすら算出してお客さんに投げまくる。そういったオペレーショナルな業務に忙殺されて疲弊していく人を、たくさん見てきました。RTBは、そういったメディアプランの部分を機械が効率的にやってくれるテクノロジーなので、Excel仕事を全部請け負ってしまえるんです。それによって、クリエイティヴ開発の領域だったり、きちんとマーケティング上の問題を定義するという大元のところだったり、あるいはキャンペーンをやるうえでどういうメトリクスでどういうゴール設定をするのかといった、まだコンピューターがやるには複雑過ぎて、人の脳みそじゃないと処理できない重要な案件をじっくり考える時間を、捻出できると思うんです。
単なるアドテク進化の延長線上としてやっているのではなく、なんのためにRTBをやるのか、というのがすごくクリアに書いてあった。
──5年後もこの仕事をしていると思います?
あはは、そうですね。実はフリークアウトのコーポレイトヴィジョンは、「人に人らしい仕事を」なんです。いまは、オンラインマーケティングの領域における旧来のメディアプランニング、つまりはExcel仕事を排除して、新しい余剰生産力が新しい価値を生むところを支援していく事業をやっていますが、根本的に目指しているのは、人間が本来的にはコンピューターやソフトウェアに任せたほうがいい雑務とかルーティンワークを、ぼくらの開発しているソフトウェアによってすべて自動化し、人を仕事から解放するということなんです。それと同時に、解放された人たちが「じゃあ何をしていくべきか」という指針そのものも、自分たちのソフトウェアを使いこなしてつくっていきたいと考えています。その2個セットを世の中に提供していくことがぼくらの目標であって、そういう領域は広告に限らずいろいろな場所にあるのかなと思うので、まだまだ飽きずにやっていけると思います。
根本的に目指しているところが、
1. ソフトウェアによる自動化によって、人を仕事から解放する
2. 開放された人が「何をしていくべきか?」についても、自分たちのソフトウェアを使いこなして作っていきたい
の2つあるところ、特に1だけではなくて2についても明確なミッションとしていて、すごい。
振り返って自分は、自動化をバリバリやってルーチン的仕事から開放する、ってとこまではやってるけど、その先の仕事の再定義、みたいなのが全然できてないなぁ〜。「余ったらもっと重要なことできるやん」くらいしか言ってない。